近代的な一眼レフカメラを始めた人が、キットレンズの次に手を出す選択肢の1番に挙がるのであろう社外製のf2.8標準ズーム。中でも値段もこなれているTAMRON A09は、ベストセラーどころか、もはや、ちょっと本格的に写真をやっている人なら誰でも持っているのではなかろうかというほど売れている(はず)。
その割に撮影スポットで見かけないのは、やはり、敵を威嚇するには値段が低すぎるからだろう。レンズはでかくて値段が高いものが偉いのだ。
実売価格 3-4万円
pentaxforums のレンズレビュー 平均評価 8.79
https://www.pentaxforums.com/userreviews/tamron-28-75mm-f2-8-af-xr-di-ld-macro-sp.html
さておき、じゃぁ実際のところA09ってどうなのよ、というと、はっきり言って、この価格でこの性能は恐ろしいレベルだと思う。デジタル加工前提であれば、PENTAXのフィルム時代のスターレンズ、smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 AL と比べても遜色はない。色味とか空気感といった好みはあるだろうけど、開放は今どきのレンズに比べると解像が甘くワイド端で周辺光量落ちもあるが、f8くらいまで絞れば、十分に満足できる性能を発揮できる。風景をやる人は、山や海で落っことしても財布へのダメージが少ないレンズとして、必携の1本ではないかと思う。
絞ればいい絵になる。レンズのレビューでよく聞く魔法の言葉だが、じゃぁ、最初からf値が大きい(絞られている)レンズの方がいいんじゃねぇの、と疑問に思うかもしれない。しかし、絞りの効果で画質を上げるには、元のf値が小さい(ざっくりいうと言うとレンズがでかい)ものでないといけない。絞って画質を上げる仕組みは、レンズの中央部分の「画質がいい部分」だけを使用するため、元のf値が大きいと、その分絞れる余地が少なくなるのだ。
フルサイズのデジカメであれば、f値は11-16より絞ると、絞りボケという状態が発生するので、重要なのは、 f値自体ではなく、開放値から何段絞れるか、ということになる。
特にここ最近はレンズ性能が良くなり、レンズの端っこもよく映るが、やはり基本的には絞るとカリっとした絵になる。EDレンズや非球面レンズなど収差の少ないものもあるが、やっぱりなんやかんやで絞ったほうが良いとおもう。被写界深度も深くなるし。
そんなわけで、A09は、絞れば良くなるレンズの典型的な例だと思う。